便秘薬も便秘をつくる!


便秘薬も便秘をつくる!


                     参照文献・・・「便秘で悩むなんて」  
                             否林大学医学部名誉教授
                             立川 勲 氏     
                             朝日ソノラマ刊    

  大衆薬のなかでも、便秘薬は比較的よく売れているほうだといいます。
 テレビコマーシャルでも流されているものも多いので、すぐ頭に浮かぶものがあると思います。

 なぜ、下剤は売れるか。それは人知れずに治したい病気だからでしょう。
 その思いが便秘薬を買わせるものだと思います。

 また、その一方で「便秘なんかになったって、下剤があるじゃない」という思いが一般的であることも否定はできません。

 また、人間はもともと、薬にもなにも頼らずに、自力で排便ができるように作られているのです。なぜ、便秘になったのか、なぜ自分で出せなくなってしまったのかという原因を考えずに、薬にばかり頼っていては、せっかく神様から授かった「自力で排便する力」も次第に衰えていってしまいます。

 安易に薬に頼ることは気をつけたいものです。
 
 ここでちょっと下剤にはどういうものがあるかを示してみましょう。

 下剤には、大別して刺激性下剤と機械的下剤とがあります。
 刺激性下剤とは、腸粘膜を刺激して腸の働きを亢進させ、その分泌の増加をはかり、便を柔らかくするものです。

 これに対して、機械的下剤とは、口から入って便に混ざり、腸内の水分を取り込むことで便を柔らかくし、排便に導くものです。

 この下剤は、薬というよりも、むしろ、水を吸収しやすい性質をもっているといえましょう。
  
 下剤を使えば、一時的にせよ便秘の苦しみを取り除くことはできます。
 しかし、使い方を誤れば体にいい結果をもたらさないことをしっかりと知って欲しいのです。

 私がとくに注意したいのは、下剤の長期連用です。
 たとえば、アントラキノン系の薬を長年服用し続けていると、腸の壁が次第に黒味を帯びてきます。冒頭の部分で1日に100錠を服用していた女性のところでも述べていますので、よくお分かりになると思います。
 使うのを短期間で止めれば、マクロファージという細胞が異物として処理しますので、黒くなっていたとしても消えてしまいますが、長期にわたって使っているとそうはいきません。 黒ずんで、まるで末期ガンに冒された大腸のようになってしまいます。

 こうした状態が決して腸にいい影響を与えるはずがありません。
 たとえば、下剤の連用をしている人に限って、腸の消耗性疾患が多いことは、薬のせいで腸の消耗が早くなっているとも考えられます。 そういう人の腸を見てみると、本来厚みのあるはずの腸が紙のようにペラペラになっています。 腸の組織全体の構造が薬品の作用によって破壊され、腸壁が弱くなったとも考えられます。
 また、アウエルバッハなどの神経叢が変性を起こしたことにより、腸の蠕動運動を支えるはずの波状のくびれがなくなり、ズンドウになってしまっているものもあります。 この結果、腸の動きはますます悪くなっていきます。
 更に恐ろしいものとしては、腸の癒着があります。 これは、腸の曲がり角に多く、横行結腸と下行結腸、S状結腸と下行結腸が癒着している例があります。

 この癒着の恐いところは、自覚症状がないことです。 
 「ただの、便秘」と思っている間に、癒着が進み、便秘もひどくなり、手術をしなければ回復不能ということになってしまうのです。
 この癒着の原因はやはり下剤の長期連用にあると考えられます。
 下剤というのは、腸に一種の炎症を起こさせるものです。 炎症が起これば食い止めようとして近くの組織が寄ってきます。 その結果、腸と腸、腸と他の組織がついてしまいます。 たとえ、炎症が治ったとしても、その癒着はそのまま残ってしまうのです。

 私も以前、こうした例は先天性ではないかと疑い、小児科に問い合わせたことがありますが、子供にはまったくないそうです。
 大人にだけあるということは、これが何らかの後天的な要因によるものであるということになります。
 しかも、そのほとんどの人たちが下剤の長期服用者であることを考え合わせると、やはり下剤に原因が求められているといっていいでしょう。
 こうしたことは特殊な例としても、下剤を使うことになれてしまった人は、お通じも水のようにビャーと出なければ満足しないようです。 そうして1錠が2錠になり、2錠が5錠になりと、次第に数を増やしていき、腸を鈍感にし、自力で排便する力を徐々に失っていってしまうものです。
 つまり、下剤が便秘をつくるものではなく、下剤に頼ればいいという安易な心が便秘をつくると言えましょう。


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