化学合成油脂の危険性について


化学合成油脂の危険性について

 必須脂肪酸(FEA)のオメガ3とオメガ6脂肪酸は体内で合成できないため、どうしても食事から摂取しなければならない。オメガ3脂肪酸系列のDHAは植物油のアルファリノレン酸から体内でEPAを経てある程度の量が合成されます。

 必須脂肪酸はアレルギー、貧血、関節炎、ガン、カンジタ症、憂鬱、糖尿病乾燥した皮膜、湿疹、疲労、心臓病、炎症、多発性硬化症、月経前症候群、乾せん、緩慢な新陳代謝、ウイルス感染などの症状、中毒からの回復に役立つ働きが指摘されていす。


 自然に発生する脂肪酸は、シス二重結合を含んでいます。

「シス」は、オレイン酸など、分子同士の結合に関する炭素、水素の結合において二つの水素原子が、二重結合の同じ側面側に存在するように、分子が曲げられたものである。このかたちは、不規則な形のため分子間の結合が弱く、より融点が低くなるため、室温では液体である。魚の脂肪はマイナス45度まで液状を保つ程である。つまり水より分子間引力が弱いということになります。

 トランス型二重結合は、分子同士の結合で二つの水素原子が二重結合の反対側となるように存在する脂肪であり、比較的安定した結合であるため室温でも固体に近い。飽和脂肪酸のように結合をもていない(結合の必要がない)脂肪も室温では固体である。

 マーガリンは、脂肪分子に水素原子を加えることにより、シス型脂肪酸の結合がトランス型脂肪酸に変形されたもので、その結果融点が上がり、室温において固体を維持するようにしたものです。

 「水素添加作用」というこの作用は、金属触媒を用い、約260度の温度で処理され、シス結合のおよそ半分がトランス形状に変換される。この過程で触媒の金属(主として、ニッケルとアルミ)が混入することがあるようです。

 水素添加により作られた油は、自然により作られた油とは違い、すぐに腐ったり、嫌な臭いを出したりしなため、広く普及することになり今でも加工食品に大量に使用されています。

 水素添加脂肪の代表であるマーガリンは、常温に放置しても長時間カビも生えないし、虫などにも食べられることがないものです。つまり、もはや食品と呼べないものと判断しても良いのではないでしょうか。人間だけがそれを口に入れている、ということになっています。

 マーガリンの脂肪が水素と結合しているのは部分的であるため(つまり完全に飽和していない)ため、「高分子不飽和脂肪酸」という食品としてメーカーは販売しています。

 トランス型脂肪は自然には存在しないため、体内ではそれをどう処理するかわからないため、体内では取りあえずシス型脂肪と同じように対応しようとするようです。このためその処理がうまく行かず、毒物として作用したり、細胞膜や他の場所に蓄積されるという本来起こりえないことが起きてしますようです。このためさまざまな障害が出てしまう原因となっているようです。

 トランス型脂肪は、細胞膜において膜の保護の構造と機能を弱める。つまり、細胞の薄膜を出入りするミネラルや他の栄養素の正常な流れが変更され、細胞が弱ってしまうことになるため、人体は免疫機能が弱り抵抗力低下により、病気の危険性が増加することになるといったことも起こるようです。

 また、トランス型脂肪は、コレステロールを排除する過程で、体の標準的な機能を麻痺させることがあるようです。肝臓は通常、胆汁に超過したコレステロールを入れ、それを胆嚢に送り、その後小腸に分泌されます。トランス型脂肪は肝臓におけるコレステロールの標準的な変換を塞ぎ、血液中のコレステロール濃度の増加を招くようになります。さらに、アポリポ蛋白Aという心臓病の要因の血液中濃度を増加させることもあるようです。

 さらに、低密度リポ蛋白質(LDL)の量の増加と高密度リポ蛋白の量の低下を招き、ます。LDLは悪玉コレステロールと言われ、動脈硬化の原因の一つであると言われます。HDLは善玉コレステロールと言われ、心臓のシステムをLDLから守るのを助ける働きがあります。

 このように、トランス型脂肪は、飽和した動物脂肪よりも重大な問題を起こすことが指摘されています。


さらに、重大な問題があります。

 トランス型脂肪の副作用は、炎症を引き起こすホルモン(プロスタグランディンE2)の促進反炎症性のタイプ(プロスタグランディンE1、E3)の抑制作用があるようす。

 このため、体内に炎症を引き起こす要因をつくり、簡単には治癒しない深刻な事態を招くことになるようです。

 プロスタグランディンは多くの新陳代謝の機能を制御しており、ごく僅かな量がアレルギー反応や、血圧、凝血、コレステロール値、ホルモン活動、免疫機能、炎症反応などに関して重要な影響を与えます。

 トランス型脂肪の問題はここ15〜20年前の間に知られることになったようですが、米国では大部分の問題が無視されているようです。しかし、ヨーロッパにおいては食品規格で規定され、0.1%以上含有することを許可していない国もあるのですが、米国では30から50%もトランス型脂を含んでいるものがあるということです。

 食品産業はこの問題を否定していますが、体に悪影響を与えるという科学的な証拠は増え続けています。

 ラッセル・ジャフ医学博士によれば、去勢された豚を飼う農家では動物たちにトランス型脂肪の入った餌を与えないという。与えれば、動物たちの命が危ないのを知っているのだそうです。

 トランス型脂肪はマーガリンだけに含まれるのでなく、「水素添加」とか「部分的に水素と化合して」と記された食品は全てトランス型脂肪が含まれます。

 パン菓子類、ショートニング、生成された植物油、ピーナッツバターなどなど。とくにピーナッツバターは膵臓を圧迫する砂糖あるいはコーンシロップを含み、それらは容易に脂肪に変換されます。綿実油も有害な脂肪酸を含み、本来食用として収穫されるものではないため、有害な殺虫剤も使用されることがあるのに、安価であるという理由からフレンチフライや多くの加工食品に含まれるようです。

 現代医学の多くの科学者たちが、今、必須脂肪酸の質と量のバランスが重要で、飽和脂肪酸とトランス型脂肪の減少がより大きな結果を生むこととなると言っています。

 エドワード、シグール医学博士は脂肪酸の研究で有名であるが、トランス型脂肪と心臓病の関係に相関があることや、心臓病の患者の多くに、必須脂肪酸の不足が見られることを指摘している。

 アメリカの母親のミルクには、ナイジェリアの母親のミルクの1/5から1/10のオメガ3しか含まれていない。また、カナダの198人の母親のミルクの調査でもトランス型脂肪の割合が、全体の脂肪酸の0.1から17.2%のばらつきで平均7.2%であった。本来これは、0%でなければならない。

 オメガ3脂肪酸はとくに学習能力に関係し、心配や憂鬱、聴覚、視覚に影響を与え、免疫システムのバランスを保つ働きもする。


 インドの北部と南部とでは、心臓病にかかる人口比率に劇的な違いがあることが調査された。北部の人は肉食であり、高いコレステロール値をもっていた。一方、南部の人たちは、菜食主義者であり、コレステロール値はずっと低かった。現代の常識から判断すれば明らかに肉食である北部の人たちの方が、心臓病の率が高いと思われたが、実際は、南部の菜食主義者の人たちは、北部の肉食の人たちより15倍も心臓病の割合が高かったのである。

 この理由は、北部の人たちの食事の脂肪源はギーという純正バターであるのに対し、南部の人たちの脂肪源は、マーガリンや加工された高分子不飽和油脂の植物油を使っていたことによると思われる。しかし、それから20年後、インド北部での心臓発作による死亡率が増加していることが報告された。その後の調査でそれまで使われてきたギーに変わって南部と同じく、マーガリンや加工された植物油が使われてきたということが明らかにされた。


 100年ほど前は心臓病は殆ど知られていなかった病気である。現在では米国では約2/3が心臓病の徴候があると言う。明らかに何かが変わってきている。この原因の一つに、過剰加工、過剰精製された油脂が関係しているといえる。


 ハーバード大学公衆衛生学部の研究やシグール博士の研究でも、水素と化合した植物油などトランス型脂肪が心臓発作、心臓病の要因になることを指摘している。


 デンマーク栄養評議会ではトランス型脂肪が飽和脂肪酸と比べ、動脈硬化の発達に関して同等か、より大きな要因になっていると指摘。


 ハーバード大学公衆衛生学部栄養課の別の研究では239人の心臓発作の患者の食事を分析し、それらを282人の健康な人間の食事内容と比較した。その結果、際だってマーガリンの摂取が心筋梗塞の危険性と結びついていることを明らかにしている。


 ハーバード大学医学部の調査研究では、8年の歳月と85000人以上の女性を調査した結果、マーガリンのようなトランス型脂肪を含む食事が冠状動脈を中心とした心臓病に大きな影響を与えることがわかった。


 普通に流通する植物油の多くが、加工処理されているが、その殆どが必須脂肪酸の破壊とビタミン・ミネラルの損失、そしてトランス型脂肪酸と遊離基(過酸化脂質、活性酸素)の形成をもたらす。


 我々の体に必要なのは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸をバランス良く取ることであるが、現在はオメガ6脂肪酸は十分に摂取され、体内でプロスタグランディンE1に変えられるが、せっかく捕った脂肪酸を有効なプロスタグランディンに変えられない場合がある。これは、トランス型脂肪の摂取やアスピリン、タイレノールのような反炎症性の薬物、あるいはビタミンB6やマグネシウムの不足などである。オメガ6脂肪酸の不足は、免疫システムの問題や胸の痛み、湿疹、高血圧、月経前症候群などをもたらすが、現在の普通の食事ではおそらく不足することはないと思われる。

 オメガ3脂肪酸は、オメガ6脂肪酸に比べ、絶対的に不足している脂肪酸である

深い海に済む魚(青魚)などに含まれるもので、DHAやEPAもオメガ3系の脂肪酸に含まれる。このため、これらの魚は油で揚げたりしないようにしたい。

 さらに、亜麻仁油には約57%ものオメガ3脂肪酸が含まれている。亜麻仁油にはさらにリグナンという特定の物質も含まれている。このリグナンは、ガン、バクテリア、ウイルス感染に効果があるとされる。


 以上のことから、食事において気を付けなければならないことは、マーガリンは使わず、有機栽培のギーまたは純正バターを使う。ギーはインドやフランスのシェフの間で使われる料理用の脂肪である。香りが高く、熱したとき煙や有害な物質を生成しないとのこと。

 オリーブ油(エクストラバージン)は必須脂肪酸はあまり含んでいないが、単不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)であるオレイン酸を豊富に含んでおり、容易に酸化されないため、加熱料理には最適であると言えます。グレープシード油も酸化されにくいので加熱料理に使えそうです。なたね油(キャノーラ油)にも比較的多くのオレイン酸を含みます。

 反対にサフラワー油やコーン油などは容易に酸化されてしまうため、加熱料理には使うことは避けるべきです。もし加熱されると容易に過酸化脂質が作られ、体内に入り活性酸素の放出という重大な事態になるます。(活性酸素はガンを初め、高血圧、心臓病など多くの病気の原因です。)

 また、水素と化合されていないピーナツバターも良いようです。これは容器の上のほうに油が浮いて、分離しているので判るようです。

 これら油の保管には、熱はもちろん紫外線は必ずさけなければなりません。熱よりもはるかに油に劣化を招くためです。


 植物油や魚油(DHAやEPAを含む)を摂取する場合は、ビタミンB群、マグネシウムの摂取を心がけ、さらに重要なのが、脂質の酸化(過酸化)により体内で発生する遊離基(活性酸素)の被害から身を守るため、ベータカロチンやビタミンEの摂取(一日に400IU程度)と、消費したビタミンEを還元し再生する働きのあるビタミンCを500〜1000mgは摂取すると良いでしょう。

(ビタミンCは体内でさまざま代謝や免疫機能維持にも重要であることがわかってきたため、積極的な健康維持には一日に3000mgほど摂取すると良いことがあるのではないかと思います。)



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