白血球は主に、細菌などを取り込んで活性酸素などを放出し退治しますが、このとき自分自身も死んでしまいます。このため、赤血球の寿命は、100〜120日と長いのですが、白血球は3〜5日と極端に短いのです。
皮膚のどこかで出血がおきたとき、コラーゲン組織からの信号を受けた血小板は、自分の仲間や赤血球、血漿に溶け込んでいる凝固因子に働きかけ、血栓を作って出血を止めようとします。
これとは反対に血栓症とは、血小板が凝集しやすくなっており、血栓が出来やすく、毛細血管を詰まらせてしまう病気であり、もし毛細血管が詰まってしまうと、その先の細胞・組織が壊死してしまうことになります。脳なら脳梗塞、心臓なら心筋梗塞ということになってしまいます。
血液検査
検査名 |
正常値 |
検査目的 |
異常を示す主な病気 |
異常の時の健康管理のポイント |
血液一般検査(血液成分の量や質を調べ、体内の状態を診断する) |
赤血球数
RBC |
男性410〜530
女性380〜400
万個/mm3 |
赤血球の数を調べる。少ないと貧血状態。多すぎても血管がつまりやすくなる。 |
(低)鉄欠乏症貧血、再生不良性貧血、悪性貧血
(高)多血症
|
貧血の多くは、鉄欠乏症貧血。レバー、肉、緑黄色野菜、焼き海苔、ひじきなど鉄分の多い食べ物やタンパク質を多く食べる。極端なダイエットはやめ、貧血がひどい時には心臓への負担が大きくなるので過度な運動は避ける。 |
ヘモグロビン
Hb |
男性14〜18
女性12〜16
g/dl |
赤血球に含まれるヘモグロビンの量。鉄と結合しており血液の赤さになる。 |
(低)鉄欠乏症貧血、再生不良性貧血、悪性貧血
(高)多血症、脱水症
|
赤血球数、ヘモグロビン値を組み合わせることで、このデータから貧血の種類が分かる。ヘモグロビン値が低めなら食生活の改善。10g/dl以下は病院での治療が必要。 |
血沈(赤沈) |
男性10mm3以内
女性15mm3以内
(1時間後) |
血液中の赤血球が、一定時間にどれだけの早さで沈むか。病気の有無や血液成分の状態を知る。 |
感染症、白血病、高度の貧血、心筋梗塞、ガン、肝臓病、妊娠、膠原病 |
血沈が高いことは血液のバランスが崩れていることを示しているので注意が必要。さらに精密検査を受け、正確な診断と早期治療を受けよう。 |
白血球数
WBC |
4000〜8500
個/mm3 |
数が少ないと病原体に感染しやすくなる。多いと感染症や炎症の可能性あり |
(低)肝硬変、薬剤障害、ウイルス感染
(高)感染症、白血病、心筋梗塞
|
白血球数は、感染症の時や、タバコの吸いすぎでも増えます。安定した生理状態の時に検査を受けましょう。2万個以上、また1000個以下の時が続けば骨髄の検査を受ける必要がある。 |
血液像 |
好中球50〜60%
単球4〜7%
好塩基球1〜5%
リンパ球25〜45% |
白血球の種類を分け、それぞれの占める割合の変化で、病気の診断の手がかりとする。 |
感染症、伝染性単核症、アレルギー疾患、膠原病、白血病、ガンなど。 |
数値が極端な場合は、医師の説明を聞き、さらに詳しい検査を受けましょう。 |
血小板数
PLT |
15〜40
万個/mm3 |
出血時の止血の役目をするが、肉類を採りすぎたりすると血栓の原因になる。 |
(低)肝硬変、血小板減少性紫斑病、SLE
(高)白血病、多血症
|
血小板の数の異常は、重い病気と関連することが多いので、10万個以下、50万個以上のときは血液内科の専門病院を受診しましょう。抗生物質や抗がん剤の影響で血小板が減ることもある。 |
血液生化学検査(血清中の物質を分析することで内臓の状態をチェックする) |
AST
(GOT) |
11〜37
IU/L |
肝臓や心臓の中に含まれており、値が多いときは障害の疑いがある |
(高)急性・慢性肝炎脂肪肝、心筋梗塞、筋疾患など |
GOT、GPTはともに飲酒や運動に影響されやすい。アルコールを控え、検査直前に病院に駆け込んだりせず、安定した状態で受けよう。300以上の高値は医師の指示に従ってください。 |
ALT
(GPT) |
5〜45
IU/L |
GOT検査同様アミノ酸の造成を促す酵素。肝臓に含まれ、肝機能障害の早期発見に役立つ |
(高)急性・慢性肝炎、脂肪肝、乳筋、アルコール性肝障害 |
主に肝臓病時に上昇するので、ストレスの多い不規則な生活、食べ過ぎや肥満、偏りのある食生活、過度の飲酒などは避け、健康な生活を心がけよう。80以内であれば検査に一喜一憂するのは得策でない。 |
ALP |
50〜210
IU |
肝臓、胆管、骨、腎尿細管にある酵素。正常値を超える時は、胆汁の流出経路などに異常が考えられる。 |
(高)急性・慢性肝炎、肝硬変、骨の異常など |
ALPとともにGOT、GPTが異常値が見られるときは肝臓・胆道の病気、GOT、GPTが正常の時は骨の病気が考えられる。高い時はアイソザイムも参照して診断がなされる。 |
LDH |
210〜420
単位 |
肝臓、腎臓、心筋、骨格筋、脳に多い酵素で細胞の障害時の目安となる。 |
(高)肝臓病、心筋梗塞、がん、悪性貧血、骨格筋の病気など、溶血の時 |
妊娠や運動、測定日によっても変動しやすいが、危篤な病気の判断に使われる |
LAP |
30〜80
IU/L |
肝臓、すい臓、胆道などに多く含まれる酵素を測る検査で主に胆汁の流れを見る |
(高)肝炎、肝硬変、肝がん、胆道(結石、がん)、 すい炎など |
他の肝機能検査と組み合わせて、総合的に判断される。他の検査で異常が出なければ、再検査をしながら経過をみていくことがある。 |
γ−GTP |
10〜65
IU |
アルコールに敏感に反応する肝機能のチェックに役立つ |
(高)アルコール性肝炎、急性・慢性肝炎、脂肪肝、胆がん、胆道がんなど |
普段からお酒を飲んでいる人は高いので、数日間禁酒をしてから再検査をすることもある。検査の結果によってはアルコールの量を制限されたり、禁酒を勧められる。 |
血清、総たんぱく |
6.5〜8.2
g/dl |
アルブミンとグロブリンの量を量り、栄養状態を知る目安となる |
(低)栄養不良、肝機能障害(肝硬変)、ネフローゼ
(高)栄養過多、多発性骨髄腫
|
体内のたんぱくの分布の均衡が崩れたり低下すると、むくみが現れたり、胸や腹に水がたまるなどの症状が現れる。むくみに気付いた時は受診しましょう。 |
アルブミン
ALB |
3.9〜5.0
g/dl |
病気などで栄養が悪くなると減少するので、健康診断のスクリーニングに最適 |
下記参照 |
下記参照 |
A/G比
(アルブミン/グロブリン比) |
1.2〜2.0 |
両者は、血清中のたんぱくの成分。アルブミンとグロブリンの比率でより的確な診断が下せる |
(低)肝硬変、がん、ネフローゼ症候群、栄養不良、多発性骨髄腫、膠原病 |
アルブミンが減っているのは、肝臓や腎臓に何らかの障害のある証。低くなればなるぼど重症。肝硬変や膠原病、多発性骨髄腫はある種のグロブリンが極度に増える。 |
膠質反応 |
TTT1〜5、ZTT4〜12
(グンケル単位) |
血清中のたんぱくの性質を調べる検査で結果が早くわかる |
(高)急性・慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変、高脂血症、膠原病など |
慢性肝炎・肝硬変の診断に良く使われる。これだけでは確定できないので他の肝機能検査やCTなどの必要な検査を受けよう。 |
ビリルビン(TB) |
0.
2〜1.2
mg/dl |
赤血球が分解されてできる色素ビリルビンを測る。血液中にこの色素が多いと黄疸になる |
(高)黄疸、肝臓病、胆石、溶血性貧血、甲状腺機能、低下症など |
黄疸になると、尿が黄褐色になったり、白目の部分が黄色くなる。ビリルビン値が2mg/dl以上になると見た目にも黄疸がはっきりしてくる。治療に専念しましょう。 |
血清アミラーゼ |
60〜180
(酵素法) |
すい臓に最も多く含まれる酵素。すい臓の検査には尿アミラーゼとともの欠かせない。 |
(高)急性・慢性すい炎、膵のう胞、すい臓がん、耳下腺炎など |
すい炎は油もののとりすぎと飲酒が主な原因。すい臓は弱い臓器でダメージを受けると回復しにくいので、
日頃からアルコールはほどほどにし、暴飲暴食は慎もう。
|
尿素窒素 |
8〜20
mg/dl |
腎臓の機能が低下すると血液中の尿素窒素の濃度が高くなる |
(高)慢性腎炎、腎不全、尿路疾患、脱水症、消化管出血など、
(低)肝硬変など
|
腎臓の働きは年齢とともに低下していく。高血圧、糖尿病の人は腎臓を悪くしやすい。高値の人はタンパク制限を行い腎臓内科へ。 |
クレアチニン |
0.
7〜1.2
mg/dl |
腎臓機能が低下すると血液中のクレアチニン値が高くなる |
(高)慢性腎炎、腎不全
(低)尿崩症など
|
同値が高ければ高いほど腎臓障害は重い。腎臓の機能低下が初期の頃は、食事療法や日常生活に注意が必要。8mg/dl以上になると人口透析を受けることになる。 |
尿酸 |
男性3〜7.2
女性2〜6
mg/dl |
尿酸が高くなると痛風になるため、その診断を行う検査 |
(高)高尿酸血症、痛風、グルタミン酸代謝異常 |
尿酸が過剰になる原因には、アルコールや激しい運動やストレスは避けるように、プリン体の多い肉、レバー、内臓をたべる魚は控えること。 |
血糖値 |
70〜100
mg/dl
(空腹時) |
血液中のブドウ糖の量を測定して、主に糖尿病をチェックする |
(高)糖尿病、急性すい炎、肝硬変
(低)飢餓時、インシュリンノーマ(稀)
|
空腹時血糖値が120mg/dlなら糖尿病の疑いあり。75gの糖負荷試験で精密検査を。病気が確定したら、眼底と神経の検査を受けて合併症の有無をた確かめよう。もちろんカロリー制限が必要です。 |
総コレステロール
(こちらを参照ください)
|
130〜220
mg/dl |
コレステロールは人体に不可欠のものだが、過剰になると動脈硬化など多くの病気の原因になる |
(高)高脂血症、動脈硬化、糖尿病
(低)肝硬変、栄養障害
|
心筋梗塞を生じないようストレスに気をつけて、タバコを控える。女性は閉経と友に高くなる。排卵・動物性食品を控えめに。家族性に高い人も500人に一人おり、その場合は、薬物療法を受ける。 |
HDLコレステロール
(こちらを参照ください)
|
40〜80
mg/dl |
HDLは善玉コレステロール(といわれています)。少ないと動脈硬化の危険性が高まる。 |
(低)動脈硬化、高中性脂肪、血症、高血圧症、糖尿病、心筋梗塞 |
HDLを下げる原因は、喫煙、肥満、運動不足など。HDLを上げる食べ物は植物油、いわし、さば、さんまなど。意外と少量のアルコールが効果的。 |
中性脂肪
(こちらを参照ください)
|
50〜150
mg/dl |
たまり過ぎると動脈硬化が促進され、各種の成人病を引き起こす |
(高)高脂血症、肥満、脂肪 肝、シンドロームX |
シンドロームX(X症候群)とは、肥満、高中性脂肪、高インスリン血症、高血圧、低HDLなどすべてを伴った症候郡で高値の人は脂肪ばかりでなく、カロリー制限が必要。最近増えてきている。 |