食物繊維について

 食物繊維について、いろいろな情報を集めてみました。
(この記事は、米国LPI社のヘルス・リサーチ・レビューという健康新情報紙を翻訳したものです。)



食物繊維について

  1. 繊維とは 

  2. 水溶性と不溶性

  3.(米国の)各省庁ならびに公共組織からの関心

  4. 繊維の利点

  5. FDA(アメリカ食品医薬品局)から公表された重大な明言の数々

  6. FDA、オオバコ種子の健康増進効果明示を許可


1. 繊維とは、

 繊維とは、各種のデンプン、粘液成分、ペクチン、セルロース様構造体、それに不溶性デンプンで構成され、植物の“結合組織”を作り上げているものです。繊維といえば、一見したところ、このごろマスコミで話題のハーブ類やホルモン類にくらべて、地味な印象しか与えないかもしれませんが、ほんとうは、驚くべき特性をいくつも持っているのです。

 我々が食べる繊維の量は、あまりに少なすぎます。FDA、全米科学アカデミー、米国農務省、米国癌協会といった公共の組織は、皆、我々の1日あたりの繊維摂取量を、大人なら20〜30グラムにまで増やさなければならない、という点で意見が一致しています。そのとおりです。我々の多くは、10グラム以下しか、食べていないからです。

 繊維には、2つの形態があります。水溶性---多くの果物や豆類に含まれています---それと不溶性---穀物のもみ殻(糠)や、種実類、果物や野菜の皮に含まれています---です。オーツ麦やオオバコ種子には、両方が含まれています。我々の多くが食事から繊維を充分摂れていない理由は、簡単なことで、通常、果物や野菜や未精白穀物を、大量には食べないからなのです。

 繊維の価値ある効果のひとつは、機械的なことです。適量を摂取すると、食べたものが消化器官内を通過していくのにかかる時間を短縮します。繊維は水分を吸収しますから、当然、便の量が増えてやわらかさが増し、内部を移動しやすくなるのです。こうして通過時間が短くなれば、有毒物質が内壁に触れている時間が減りますから、腸のトラブルのリスクが減ります。また、便が腸の出口付近にこびりつくことがなくなりますので、感染症のおそれも減らせます。さらに、やわらかい便を排出するのにはさほど緊張がかかりませんから、痔の発生のおそれも、ふつうに考えれば、減るということになります。

 それだけではありません。水溶性繊維を食べると、次に胃の中がからっぽになるまで時間がかかります。そしてそのことによって、糖分の吸収を遅らせたり、吸収にかかる時間を引き伸ばすことになり、結果、インシュリンの分泌が正常化したり、血糖がうまくコントロールされることになります。それから、繊維はまた、消化器官の中で、コレステロールに胆汁を絡み付けて包み込むので、コレステロールの再吸収・再循環を防いでくれます。コレステロールの吸収がされなくなれば、血液中のコレステロール値は下がります。しかも、胆汁というのは肝臓がコレステロールから作るものなので、コレステロールが腸の中にたくさん残っていれば、これを利用してどんどん胆汁が作られることになり、二重にコレステロール値が下がっていく、ということになります。

 さらには、繊維は、食べたものの脂肪を包み込んで、吸収しにくくさせるので、体重増加を防ぐのにも役立ちます。また、脂肪を吸収しにくくなれば、それだけでなく、脂溶性の有毒物の吸収率を下げることにもなりますから、何人かの研究者が、乳癌や前立腺癌のリスクを減らすのに高繊維食が有効だ、と述べているのは、おそらく、それで説明がつきます。繊維はまた、その刺激によって、脳に満腹したという信号を送る、コレシストキニンというホルモンの分泌を、うながします。それに高繊維食は、そうでなくてもかさばるので、量感があるわりに低カロリー、ということになります。

 高繊維食はまた、短鎖型の脂肪酸の生産をうながすことになり、それによって、腸内の酸性度が増し、善玉菌が増えます。そして、その結果、解毒作用が活発になり、寄生虫や真菌類を寄せ付けない自然の防衛力が、高まります。

 そして、このように、体重の増加を抑え、コレステロール値を下げ、糖分の代謝を調節する、といった利点の相乗効果によって、高繊維食は、最終的に、心臓の血管の病気のリスクを減らすことにも役立つのです。さあ、もし、あなたが今のところ1日あたり25〜35グラムの繊維をまだ摂れていないとしたら、今すぐ、必要なステップを踏み出してください。高繊維食は、あなたご自身が、全身的な健康状態に劇的なインパクトを与え得ることのうちで、もっとも易しく、かつ、もっとも重要なことのひとつなのです。



2. 水溶性と不溶性

 一般的にいって、繊維は消化されたり吸収されることはありません。というのは、消化酵素に対して耐性があるからです。食物繊維は、ふたつのタイプに大別されます。水溶性と不溶性です。概算では、食物繊維の65〜75%が、不溶性です。水溶性の繊維というのは、水分の中でゼリー状になるもので、いんげん、コーン、オーツ麦、大麦、グリーンピース、芽キャベツ、レンズ豆、にんじん、キャベツ、オクラ、アプリコット、プルーン、なつめ、ブラックベリー、クランベリー、種実類、りんご、バナナ、かんきつ類、オオバコ種子、ある種のガム成分、海藻、といったものに含まれています。不溶性の繊維は、ふすま/ぬか(コーン、オーツ麦、米、小麦などの外皮)、全粒穀物(コーン、大麦、米、小麦、オーツ麦)、シリアル類、果物や野菜の食べられる皮、セロリ、玄米、その他いろいろな種類の野菜に含まれています。



3. 各省庁(米国の)ならびに公共組織からの関心

 米国政府関係筋から現在出されている各種勧告は、いずれも食物繊維をおおいに擁護しています。これらの勧告は、互いに協同活動している各省庁から発表されています。発行省庁の名前をあげると、健康と安全に関する全般的な事項を管理している合衆国食品医薬品局、食物による”食品ピラミッド”を作成した合衆国農務省などです。いずれも、全米科学アカデミーの支援を受けている省庁です。そしてこの全米科学アカデミーの下には、インステシテュート・オブ・メディスンや、1日あたりの栄養所要量やら1日あたりの栄養評価やらを発表している食品栄養委員会が活動しています。同様に、さまざまなプロの科学者や、全米心臓協会や全米糖尿病協会といった各種擁護団体も、繊維に肩入れしています。この他にも、全米食餌療法協会、実験生物学のための全米学会連合、全米癌学会、全米癌インスティテュート、などなどがあります。言うまでもないことでしょうが、この健康を支える物質---繊維---には、多大な関心が寄せられてきているのだ、ということです。



4. 繊維の利点

 繊維は、通常、結腸癌と結び付けて考えられています。1日あたり、繊維の摂取量を13グラム増やすと、アメリカ国内の結腸・直腸癌を30%減らせる可能性があるからです。これまで出版されている事例のいくつかを見ると、食事に適切な量の繊維が含まれていれば、乳癌のリスクも減らせる可能性があるようです。研究者たちは、他の部位、たとえば男性の前立腺に生じる癌との関連においても、繊維の果たす役割を評価しています。食物繊維は、糖尿病との関係でもいくつかの役割を果たすらしく、満腹感、肥満、ある種の糖分の吸収などに関して有効である可能性があるようです。

 繊維は、血液中のコレステロール値、特に初期値が高い場合にそれを抑える効果があるため、心臓血管系の病気を防ぐ上でも役に立つ可能性があります。いくつかの研究でわかったのは、繊維と心筋梗塞(心臓マヒ)との間には反比例する関係がある、ということです。繊維が不足した食事ばかり摂っていると結腸に憩室炎をおこす可能性もあるそうです。

 さまざまな研究が示唆するところによると、水溶性繊維は、ものを食べたあと胃袋が空になるまでの時間を短縮する可能性があるらしい、つまり、食べ物が胃を通過するのにかかる時間をずっと速くできるらしいのです。腸でも、それは同様です。ということは、血液中のコレステロール値---血液中の悪玉コレステロールであるLDL(低密度リポ蛋白)を含む---を減らす可能性がある、ということです。一方、不溶性の繊維は、便の量を増やし、消化管内の通過を速めます。繊維はまた、満腹感を与えるので食べる量を減らすのに役立つため、おそらく、食べる量をコントロールすることによって、体重管理をしやすくするのにも役立つでしょう。

 もうひとつ、水溶性繊維は、炭水化物の消化と吸収を遅らせる可能性があるため、血糖値が大きく変動するのを防ぐのに役立つ可能性もあります。ハイ・カロリーな食物中の脂肪の吸収を防ぐ可能性も大きいことを考え併せると、この点からもまた、満腹感を得やすくする上で、役に立つといえるでしょう。



5. FDA(アメリカ食品医薬品局)から公表された重大な明言の数々

穀物製品を含む、脂肪が少なく繊維の豊富な食事は、いくつかのタイプの癌のリスクを減らす可能性があります。

飽和脂肪酸やコレステロールが少なく、繊維、特に水溶性の繊維を豊富に含んだ食事は、心臓病のリスクを減らす可能性があります。

脂肪が少なく、繊維やビタミンA(ベータ・カロチンのかたちで)やビタミンCを含んでいる可能性の高い果物や野菜の多い食事は、いくつかの癌のリスクを減らす可能性があります。

全粒オーツ麦からとられた水溶性繊維を含む食品を、飽和脂肪酸の少ない食事の一部に取り入れると、心臓病のリスクを減らす可能性があります。

オオバコ種子の殻からとられた水溶性繊維を含む主要な朝食用シリアルやその他の食品には、飽和脂肪酸とコレステロールの少ない食事と組み合わせて摂ると、心臓血管系の病気のリスクを減らせる可能性がある、と表示してもよい、という許可がおりました。



6. FDA、オオバコ種子の健康増進効果明示を許可

 オオバコ種子の種皮から取られた水溶性繊維を含む製品のラベルには、”本品を飽和脂肪酸やコレステロールの含有量が少ない食事と共に摂取すれば、冠状動脈・冠状静脈に関連した心臓の病気のリスクを減らせる可能性があります”、という健康増進効果表示を、今度から、載せてもよいことになりました。ただし、オオバコから作られた健康補助食品のラベルには、”充分な水分とともに摂取すること”、という警告も、一緒に載せなければならないことになっています。

 ミネソタ州バトルクリークに本拠を置くケロッグ社から提出された陳情書の内容を検討してきたFDAは、今年の2月、1997年1月に公表された現行条例に加える修正項目として、正式に、この健康増進効果表示の掲載を認めることになりました。先の裁定では、全粒オーツ麦から取られた水溶性繊維を含む製品のラベルに、健康増進効果の表示を載せる、ということに関しては、規定がなされていたのです。

 FDAの裁定によれば、健康増進効果をうたうには、製品には、オオバコ種子の種皮から取った水溶性繊維が、1回摂取する分量あたり、1.7グラム以上含まれていなくてはいけないことになっています。

 また、乾燥形態、もしくは不充分な含水状態のオオバコ種子製品では、飲み下しにくいことがあるので、FDAでは、このような製品の場合、健康増進効果についての表示に加えて、適量の水分とともに摂取すべし、との断わり書きも掲載しなくてはならない、ということを定めました。この断わり書きには、さらに、嚥下作用に困難をかかえる人はこの健康補助食品の摂取を避けるべし、という忠告が続くことになります。

 今回の修正条項を正式に認定するのに先だって、FDAでは、”1日あたり10.2グラムのオオバコ種子の種皮(すなわち水溶性繊維7グラム分)を、飽和脂肪酸やコレステロールの少ない食事と組み合わせて摂っていると、血漿中のコレステロール値をきわめて低い状態に維持できる”という事実を明らかにしたいくつかの科学的研究を、詳しく検討しています。健康増進効果の表示をするにあたって1回の摂取量を1.7グラム以上としなければならない、ということになったのは、1日に4回摂るとすると、1.7かける4で7グラムとなり、上記の各研究で述べられている1日あたりの摂取量と同じになるからなのです。

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