カルシウム(とマグネシウム)について、その1


カルシウム(とマグネシウム)について、その1


(その2はこちら)(ビタミンD参照)

 多くの場合、マグネシウムは食品からの充分な摂取が難しいのが現状であるらしく、カルシウムと比べて明らかに少なくなってしまっているのです。

 このため、カルシウムと拮抗し合うマグネシウムが不足し、細胞が正しい働きをしづらくなっているため、骨にはカルシウムが不足するのに、なぜか動脈細胞などの本来はカルシウムが蓄積してはいけない細胞にカルシウムが固定されてしまうという、「カルシウムパラドックス」を引き起こすそうです。

 カルシウム沈着による細胞の硬化、冠状動脈が硬化し出すとズバリ動脈硬化となります。血管の弾力がなくなるため高血圧となります。高血圧については、高血圧のページをご覧下さい。

 摂取量はカルシウム1に対してマグネシウムは0.5〜1くらいあれば良いそうです。

 ちょっと古い話ですが、アポロ1号の打ち上げ失敗のことは、ご存じの方も多いと思いますが、このときのパイロットの体を調べて全員が動脈硬化で深刻な状態であったという記録もあるのです。きちんとした訓練を受けていたにもかかわらずです。

 この原因にもマグネシウム不足が指摘されています。その他、過去の事例は多くあるよです。

 細胞はカルシウムイオンやリンイオンなどが、刺激の伝達物質として出たり入ったりします。このことを細胞のイオンポンプ作用といいます。つまり、濃度の低いところ(細胞内)から濃度の高いところ(細胞外液)に、信号伝達に使われたイオンを運び出すことなのですが、このイオンポンプ作用には相当なエネルギーが使われます。生体で使われる全エネルギー(エネルギー発生のもととなるATPの量)の約30%もの量がこのイオンポンプ作用に使われるということです。すごい量です。信号伝達とは心臓が休みなく動くときにも、カルシウムイオンが無いと、「筋肉を緊張させ次の鼓動をしろ」というような信号が伝わらないのです。脳細胞でも同じ様なことがおきています。そして、イオンポンプ作用になくてはならないのが、マグネシウムなのです。マグネシウムは細胞内のカルシウムイオンを取り出す様に働きますので、カルシウムとマグネシウムは作用を拮抗するということになります。

 

 マグネシウムイオンが不足し、細胞のイオンポンプの力が弱くなると、信号伝達のため、細胞内に入り込んだカルシウムイオンは、なかなか細胞外液へ出ていけなくなります。こうしてカルシウムなどのミネラルは細胞内に少しずつ蓄積してきます。そのとき、細胞は新たな信号を受ける為には、細胞内のカルシウムイオンの濃度を低くしておく必要があるわけで、このため、細胞内の水分の量を多くするようになります。これがいわゆる細胞浮腫、つまり水ぶとりというものです。この水ぶとり状態も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てられます。そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけがのこされます。これが石灰化した細胞のことです。動脈硬化の原因の一つですね。

 分子矯正医学では、薬で症状を押さえ込むことはしないで、上記の場合のように、細胞にカルシウムイオンがたまる原因はマグネシウムイオンの不足により、イオンポンプの正常な機能が低下したためであると言うことを理解し、マグネシウムを補給してあげる訳です。このことにより体中の細胞浮腫状態を改善すると、5から6%の体重減少があるということです。

 身体中の細胞自体の基礎代謝も上がりますので、実際の効果はそれ以上なのかもしれません。

 血圧が高い場合は、心臓の鼓動を押さえる薬により見かけ上、正常体の血圧にしているだけです。本来なら血管がつまったり血管の弾力がなくなったりしたために、体の末端まで血液、つまり栄養素を運ぶために血圧が上がるという結果を産んでいるのに、ただ心臓の鼓動を抑えるだけでは、末端各部には栄養素が不足し、ほかの重大な病気を引き起こす場合もあると考えられます。

 これには、まず、血管をきれいにしたり、血をさらさらにしたり、という事を忘れてはいけません。

 分子矯正医学の考え方は、薬などで症状を抑えるのではなく、その症状が出てきた原因をなくすることにより、治癒させるというものです。医食同源と似ているところがありますが、それよりもっと近代的に、本来、体が必要とするビタミンやミネラルといった必須栄養素を突き止めそれを処方するのです。

 関節が変形してしまったいわゆる変形性関節症(女性の場合、女性ホルモンが弱ってくると、副甲状腺ホルモンが活発となり、骨のカルシウムが取り出されるようになるため、骨が減ってきます)があります。

 カルシウムなど必須多量ミネラルは600〜1000mgも必要ですが、カルシウムの代謝に必要なマグネシウムやボロン、ビタミンDなども合わせて取らないと、簡単に細胞に蓄積してしまい、高血圧の原因となっています。ビタミンDのみを多く取ったときもカルシウム沈着を促すようです。

 各ビタミン・ミネラルは相互に助け合う作用と、拮抗作用のバランスでうまく働くのです。よほど不足している場合は別として、どれか一つだけを摂取(あるいは不足)することのほうが、過剰摂取より重大な障害が出るとおもいます。

 銅などは、必須微量栄養素ですが、有害必須微量ミネラルとも言われるように、必要なミネラルですが、取りすぎ(2〜3mg以上)は中毒を起こします。この場合は、サプリメントより銅の容器や調理器具からの摂取が問題となります。

 普段多めに摂取している塩化ナトリウムは必須多量ミネラルですが、これでもよほど多量に摂取すると害がでます。

 マグネシウムは、カルシウムが心臓の細胞内に入り込んで血管を硬化させるのを防ぐ働きがあります。マグネシウムが不足すると、心臓病の危険が高くなるだけでなく、高血圧の誘発や不整脈の発生にもつながります。またマグネシウムは生体内の色々な酵素やホルモンの働きに関与しているので、欠乏すると神経の興奮性が高まり、震えや筋肉のけいれんが起きます。まぶたがピクピクと痙攣したことがある方も多いかと思いますが、このときはきっとマグネシウムが不足していたと想像できます。

 糖尿病の人は特にマグネシウムと亜鉛の補給が大切です。糖尿病はいろいろなミネラルの不足が推測されていますが、今のところ確実に糖尿病で減るミネラルとしてマグネシウムと亜鉛が分かっています。この二つのミネラルが不足すると「糖尿病合併症」を引き起こしやすくなると言われています。さらに、クロムというミネラルもごく微量ながら深い関係があることがわかっています。詳細は、糖尿病のページをご覧ください。

 又、高血圧や疲労などにより、血管内部に傷がつくとその傷をふさぐ為にカルシウムが集まってきます。この状態が長く続くとカルシウムを取り込んだ細胞は死に、血管に沈着し動脈硬化が始まります。これが心筋梗塞や脳卒中につながりますが、マグネシウムには、このカルシウム沈着を防ぐ働きがあります。更にマグネシウムはカルシウムが血管を収縮させようとするのを防ぎ、血管を広げる作用もあります。

 ところが今日、マグネシウムを1日220mgから270mg程度しか摂取していないため、不足状態で心筋梗塞が起きやすいと言われています。昔は塩化マグネシウムであるニガリを使って味噌、醤油、漬け物などの天然塩からマグネシウムが入っていましたが、現在では一般的に天然塩を使用しないため、マグネシウムがとりにくくなっています。小麦やトウモロコシなどマグネシウムを多く含む食べ物でも、生成加工するとマグネシウムは90%近くも失われます。

 日本では従来からミネラル類のうちカルシウムだけを重要視する傾向があります。

食生活の改善もこの面だけが強調され、マグネシウムの摂取はほとんど無視されてきましたが、ここに来てやっと、マグネシウムが私達の生活に必要で重要なミネラルであるとして注目を集めはじめています。マグネシウムが不足すると心臓病や高血圧などにかかる危険が高く、しかもカルシウムとマグネシウムを摂取するバランスもきわめて重要であることが分かってきました。

 1978年フィンランドのカルパーネン博士は、具体的にこの事実を示しています。

 食事中のカルシウムの総量をマグネシウムの総量で割り、その値をカルシウム対マグネシウム比としました。この比率と狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患の年間死亡率人口10万人対との関係を国別グラフにすると『比率が高い程死亡率が高い』と出ています。「カルシウムに比べてマグネシウムの摂取量が少ないと心臓病で死ぬ危険率が高い」ことになります。

 マグネシウムと健康、食生活の関係を研究している京都大学糸川教授は、日本人の食生活は年々欧米化しており、カルシウムとマグネシウムの比率も、最近はカルパーネン博士の値よりもっと高くなってきていると説明しています。つまり、「心臓病で死ぬ危険率」が高くなっているという事を表しています。

 骨にはカルシウムが不足するのに、余計な細胞にはカルシウムが固定されてしまうという、カルシウムパラドックスを引き起こすそうです。

 牛乳を世界で一番のむノルウェーの骨折率は日本の約5倍!

 牛乳をのめば骨が丈夫というのは、大きな間違いであるようです。

 カルシウムの代謝には、マグネシウムが、必ずどうしても必要で、カルシトニンという甲状腺ホルモンや副甲状腺ホルモンも関係してくるようです。骨にはさらにビタミンD3(活性型ビタミンD)やボロン、蛋白質(コラーゲン)も必要です。それと骨に圧力が加わらないと骨はできません。また丈夫な骨が作られるのは25才くらいまでで、そのころまでの栄養状態が大きく影響しています。女性に多い骨粗しょう症はホルモンの関係もあるようです。成長期を過ぎてからは、できるだけカルシウム消費を抑えるようにするしかないということです。成長期を過ぎてからのカルシウムのみの摂取は、カルシウムパラドックスに陥り、動脈硬化のもとになってしまうようです。

 カルシウムなどのミネラル摂取を目的に牛乳を飲むときは、低脂肪牛乳がおすすめです。でもがぶ飲みはいけません。牛乳が好きでしょうがないという人は牛乳をある程度飲んでも良いと思いますが、最先端の栄養学からでは、牛乳はできるだけ控えるようにすべき物であるようです。欧米では牛乳をたくさんのんで育った人たちの骨粗鬆症の問題、アレルギーの問題など牛乳は控えるべきとする意見が徐々に大きくなってきていると思います。

 牛乳のもつ脂肪分がミネラルの吸収をじゃまして吸収率が落ちてしまうという事も言われています。

 骨粗しょう症とは、骨密度がある程度(平均より)低くなることですが、老化によって骨密度が低下することは、骨粗しょう症とは言わないのがホントであるようです。

 骨粗しょう症という,以前はごく限られた医者でしか使われなかった言葉が一般に認識されてるようになったのは,1993年に出された厚生省の「骨そしょう症診断基準案.改正版」に示された,ある数値からであるようです。その数値とは川崎医大放射線教室で、健康な若年者3000人についてその骨量をはかり、その結果を統計学的に処理して出されたもので,最高骨量から標準偏差の2倍を差し引いた値が0.993g/平方センチになるというものでした。この値は参考値として提出さてれたようですが、厚生省の発表として一人歩きしてしまい、おかげて加齢とともに減少する通常の60才以上の方の多くが、骨粗しょう症またはその予備軍と診断される羽目になったようです。この間違った値は常識として定着してしまったのですが、一度できた常識は,ビタミンCの標準量がたったの50mgというまちがった常識と同じく,おいそれとは変えられないようです。このカットオフ値が出る以前と出た後では,骨しょう症の患者が一気に3倍以上になってしまったそうです。骨粗しょう症は単なる老化現象による骨量の減少でなく,本来は閉経後の白人女性には多く見られる謎の多い病気であるそうです。

骨粗しょう症の予防には、

 1・幼少期から25〜30才くらいまでは、カルシウムを充分に摂取する。

 2・どの年代でもマグネシウムは十分に摂取すること。

 3・40を過ぎたらカルシウムをたくさん捕って、骨のカルシウム密度を上げようとするのは、成人病への近道となるかもしれない。

 4・亜鉛をたくさん摂取すること。

  とくに30〜40才以降では、いろんな意味で亜鉛をたくさん(適量)捕るべきです。

 5・燐酸が多い食材(加工食品や保存食)は極力少なくする。

 6・含流アミノ酸をたくさん捕る。

 7・良質の蛋白質を多く捕る。

 8・酸化した脂質はとらない。

  ということが言えると思います。

 椎間板(関節)や膝、肘関節の為のサプリメントはグルコサミンです。

 ですが、リュウマチなど関節の痛みにはEPA(オメガ3脂肪酸のなかま)やEPAの200倍もの効果があるETA(エイコサテトラ塩酸)が効果的であるようです。

 そのた、フリーラジカルスカベンジャーも大切です。OPCはものとより、ビタミンA、C、E、それとビタミンB群補給も有効であると思われます。また、椎間板や骨などの細胞を作るのは、蛋白質がどうしても必要です。骨はカルシウム、マグネシウム、リン、その他のミネラルと蛋白質がその原料には不可欠です。

 食品では、タンパク源にはたまごで決まりです。ただし、生ではなく加熱調理したものが良いようです。生では卵白に含まれるアビジンという成分でビタミンH(ビオチン)の吸収が阻害されてしまうようです。ビタミンHが不足すると脱毛や白髪が増えたり、顔色が悪くなったり脂漏性皮膚炎、肌のくすみ、食欲不振、吐き気、嘔吐、激しい疲労、筋肉痛などの症状がでます。

 筋肉を動かしたりするときは、まず、筋肉を緊張させるため細胞にあるカルシウムチャネルが開き細胞内にカルシウムイオンを導きいれ、カルシウムイオンの電荷移動の刺激を受け細胞(筋肉)は縮まり力を出します。こんどは緊張をほぐすには、そのカルシウムイオンを細胞の外へと押し出さなければなりません。このときは、濃度の低い細胞内から濃度の高い細胞外液へカルシウムイオンを運ぶ必要がありますが、この作用を細胞のイオンポンプ作用といいます。このおかげで、適正なミネラルバランスを維持できているのです。

 イオンポンプ作用とは、濃度の低い細胞内液から濃度の高い細胞外液へとナトリウムイオンやカルシウムイオンを運び上げる働きのことで、ポンプですから当然エネルギーを必要とします。このエネルギーも食品から摂取したブドウ糖を原料にして作られるATPに依存しています。ナトリウムやカリウムを運ぶイオンポンプに使われるATPの量は、人体で作られるATPの総量の1/4もの量が使われます。このことから判断してもイオンポンプのもつ重要性がわかります。このイオンポンプのエネルギーを得るには、ATPを「ATP分解酵素」によって分解しなければなりませんが、このATP分解酵素はマグネシウムと結びついてはじめて働くことができる「マグネシウム酵素」のひとつなのです。このため、いくらブドウ糖が十分にあり、ATPがたくさん作られても、マグネシウムがなければイオンポンプが働くことができないということになるのです。

 筋肉を繰り返し使っていたりする場合、マグネシウムが不足すると、カルシウムイオンがスムーズに細胞内から排出されず、それでも筋肉に緊張しなさい、という信号をおくりつづけると、古いカルシウムイオンがあるのに、新たにまたカルシウムイオンが入ってきます。こうなると新たな刺激を感じなくなるため、このままでは、細胞が疲れはて、最後には活動を停止してしまいます。そうなる前の応急処置として、細胞内の水分を多くして、とりあえずイオン濃度を低くするようになります。これが「細胞浮腫」状態、つまり細胞の水ぶとりという状態です。

 このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されます。細胞浮腫の人の場合、体重の約5〜6%ほども軽くなるそうですから水分の量も相当な量だと思います。

 例えば、骨=カルシウム=牛乳という図式が、旧態栄養学ですが、これは、既に間違いであったことが判明しています。分子栄養学からでは、牛乳の飲み過ぎは、骨密度を低下させてしまいます。骨はカルシウムだけでできているわけでは無く、生きた細胞として存在し、マグネシウムなど他のミネラルや、そしてコラーゲンからできていますので当然、良質の蛋白質も必要になってきます。

 脳細胞の栄養はぶどう糖のみですので、普段の食事から脂肪、タンパク質、もちろん糖分などが肝臓で分解されブドウ糖の形になって補給されれば良いわけです。また脳内の信号伝達にはカルシウムイオンやマグネシウムイオン、タンパク質から作られる各種アミノ酸、脳内物質が複雑に関与してますが、これらが不足したり効率が悪くなると、脳味噌がうまく働かないことになります。カルシウムイオン不足は、エンセファロバチア症候群という深刻な病気になりますが、これはビタミンB1不足により糖分が効率よく代謝できないために、疲れ物質である乳酸の中和などでカルシウムイオンが使われてしまうため、脳でのカルシウムイオンが不足することによっておこるようです。症状はやる気のなさ、道徳心の低下などで、精白米を主食にしている日本人で、甘い清涼飲料水をペットボトルで飲む若者には心配になってくると言う人もいます。

 他の栄養素では、ミネラル(金属元素)は体内に蓄積されてくるのは仕方のないことですが、要は、バランスだと思います。カルシウムなど必須多量ミネラルは600〜1000mgも必要であると言われていますが、カルシウムの代謝に必要なマグネシウムやボロン、ビタミンDなども合わせて取らないと、骨にはならず細胞に蓄積してしまい、高血圧の原因となっています。ビタミンDのみを多く取ったときもカルシウムの細胞沈着を促すようです。

 成長期を過ぎての牛乳がぶ飲み(乳製品の取りすぎ)は、高血圧、骨粗しょう症のもとというのは、もはや常識です。カルシウム補給(カルシウムばかりでは無いですが)には海草のひじきが最適です。

 人間の血液はいつも弱アルカリであるように調整されているはずです。乳酸などが流れてきますと、排除が間に合わない場合、中和すべくカルシウムイオンがやってきて中和するようです。

 ビタミンB1不足により糖分が効率よく代謝できないと、疲れ物質である乳酸が多くできてしまい、中和するためカルシウムイオンが使われてしまいます。こうなると脳でのカルシウムイオンが不足することによって最悪の場合エンセファロバチア症候群という症状が出ることになります。やる気のなさ、道徳心の低下などで、精白米を主食にしている日本人で、甘い清涼飲料水をペットボトルで大量に飲む若者には心配になってくると言えます。事実、信じられないような非行に走る者が後を絶ちません。これもきっと普段の食生活からくる、栄養失調(栄養バランスの崩れ)が関係していると思えてなりません。




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